活動
伝統の継承と学びの協働-地域住民と学生の交流

2025年11月1日(土)、金沢大学先端観光科学研究所白山サテライトにおいて、「しらみね大学村(白峰を拠点に活動する大学生団体)」に所属する大学生(金沢大学、石川県立大学、名古屋大学、福井大学、東京学芸大学)26名が参加し、報恩講を実施しました。本研究所から坂本貴啓講師、他大学からは、北陸大学 坂口雄介助教, 神奈川大学 中町泰子講師が参加しました。
今回の活動は、浄土真宗の伝統行事である、白峰地域に根付く文化「報恩講」を再現することを目的に、地域住民との協働を通じて行われました。学生たちは、地域住民から伝統的な「家の報恩講」の方法を学び、実際にその再現に挑戦しました。
「報恩講」には「寺の報恩講」と「家の報恩講」があります。後者は現在、人口減少の影響を受け、地域内で実施されているのはわずか3軒ほどとなっています。これを受け、大学生たちは地域住民と共に、白山麓の恵みを活用した伝統的な報恩講料理や、お膳の扱い方などを学び、伝統継承を試みました。また、準備過程では、口頭で伝承されてきた無形の民俗知(例:報恩講料理の技術など)を記録し、後世に伝えるための重要な資料として整理しました。さらに、昨年度までの同様の取り組みから得られた知見を基に、執筆した論文を地域住民に発表し、成果を還元しました。当日は、地域住民や関係機関の方々(計20名)を学生がご招待し、報恩講料理を通じて交流を深めました。この取り組みを通じて、地域住民と学生が共に伝統を学び、継承していく重要性が改めて認識されました。
[関連論文]上田 隆太郎, 坂本 貴啓, 加藤 智大, 永吉 証(2025)「大学生が実施主体となった中山間地域の伝統行事に関する実態分析‐学生団体「しらみね大学村」が行った石川県白山市白峰「報恩講」の事例より‐」『農村計画学会論文集』5(1), p110-119.

